| デザイナー:M. Tummelhofer 2-4人/60分 (年)2004・ノミネート (ゲ)2004・1位 時は帝政ロシア時代。職人・建築物・貴族を集め、サンクトペテルブルグ市を発展させ名声を得よう。内政発展型のカードゲームです。 まずは職人を集めて収入を増やし、建築物で名声点を重ねていきます…いや建築物より大事なのは貴族。貴族は収入と名声点が得られる上に、ゲーム終了時に集めた種類数に応じて追加点がある超重要カード。建築物なんて街の飾りですよ偉い人にはそれがわからんのです。 このゲーム、終盤に至るまで終始ゼニに困るような収支バランスとなっております。なけなしのゼニで色々カードを買わないといけない。しかし収入ばかり重視していても勝てない。賢いゼニの使い方をする管理能力と、どの時点で名声点を集め始めるかという展開を読む能力の両方が問われます。 このゲームがデザイン的に優れている点がいくつかあります。 まず、言語依存が少ないこと。ほとんどのカードがアイコンで効果がわかるようになっており(【天文台】などの一部解り難いアイコンもあるけど、1回説明すればすぐ理解できる)、小型サイズのカードながら表示が見易く手元にいっぱいカードが並んでも混乱しないということ。収入や点数計算もアイコン(アイコン表記も大きく見易い)を眺めてすぐでき、ゲームにすぐ入り込めること・プレイ時間を短縮すること・煩雑さを無くすことに於いて大きな効果を上げています。 次に、異なる種類(職人、建築物、貴族の3種類)のカードもすべて画一化され、同じロジックで処理される(値引や効果の発生タイミング)…のに、種類による性格付けがきちんと施されていること、交換カードの存在により性格付けに奥行きが与えられていること。例えば…職人は収入、建築物は名声点とハッキリとした性格の違いがあるのに、購入から効果の発生までが統一された同じ処理の繰返し、つまり単純処理で統一されていること。これは下手をすると“同じような”カードが並ぶだけに思えてしまう=飽きられる危険性がありますが、交換カードの存在が加わることで展開の奥行きも広げ、且つ「交換ラウンドには収入が無い」という唯一の“例外”で繰越しの計算を難しくする=ゲームの難度を上げ面白くすることに成功しています。 カードの個性を出しつつ、全体としてはスッキリとまとまった(それでいて簡潔過ぎない)ルール、収支バランスを考えさせるゲーム難度、とよく考え抜かれた秀逸なデザインだと思います。 一部問題となる(強すぎる/弱すぎる)カードもあるため賛否が分かれていますが、個人的にはお気に入りのゲームです。
|